10cmフルレンジ → 13cm 2Way への改造

以前にMarkAudioの10cmフルレンジスピーカー(CHR-70v3)を使った

TLS(トランスミッションライン)ボックスを作りました。

その設計図と、シミュレーション結果は次のようになりました。

外観も一緒に載せておきます。

この結果から見ると、低音は45Hzまで出ているのですが、

実際に音を聞いてみると、低音不足でした。

吸音材を減らしたり増やしたりして、いろいろ試してみましたが、

もう一つ、気に入るようにはなりませんでした。

このユニットは、やはりバスレフで使ったほうが良いと感じました。

 

でも、良い材料で凝った作りにしたので何とかしたいと思いました。

それで、ネットで色々調べたところ、12 ~13cm の 2Wayシステムに

できそうだということがわかりました。

 

ここからは、ユニット選びです。

最近、売り出してきた SB ACOUSTIC のユニットがそこそこの値段で、

特性的にも満足できそうだと思い、シミュレーションしてみました。

この結果、ボックスの開口部スリットの高さを 20mm から 6mm に、

変更すると、良い感じになることがわかりました。

シミュレーション結果を信じれば、低音は30Hzまでレスポンスがある

ということになっています。

 

また、今回は初めての本格的な2Wayシステムですが、

アンプからの出力を、ウーファー(低音用ユニット)とツィーター(高音用ユニット)へ

振り分けるディバイディング・ネットワークが必要となります。

これも、シミュレーションでいろいろな値を入れて試してみました。

最終的には、クロスオーバー(低音と高音の切り替わり)周波数が3.5kHzで、

良い結果が得られました。

この場合は、ツィーターの接続は逆相となりました。

 

幸いにも、このボックスはバッフルだけを交換できるようにしてあったので、

バッフルにユニットを取り付けてネットワーク回路を通せば、簡単に改造できました。

では、試聴してみます。

まず、ダフト・パンクのランダム・アクセス・メモリーズを聞きました。

超低音から超高音まで出ているのが分かります。

しかも中音域が滑らかで、レベルも高く言うことありません。

試しに、ツィーターの接続を正相にしても聞いてみました。

これはダメです。クロスオーバー部分の帯域が打ち消し合って、

中音域のレベルが落ちてしまっています。

やはり、シミュレーション通りツィーターは逆相のままが良いです。

 

次に聞いたのは、寺尾聰のRe-Cool Reflectionsです。

この人の歌い方は特徴的で、口をあまり開けないで歌うので、

ややもすると、歌声が聞き取りづらいのですが、

今回のスピーカーで聞くと、歌詞がとても良く聞き分けられます。

これには思わず「凄い」と思いました。

 

最後は、マリーンのLooking for loveを聞いてみました。

今までのスピーカーでこれを聞くと、何となく低音が入っていない感じが

していましたが、実はすごく低音まで入っていると再認識しました。

CDに入っている音をそのままに再生するのは、とても大変なことだと

改めて感じました。

さて、まとめをします。

 

先日、改造したバックロードホーンは歯切れがよく出力レベルも高いので、

ロックなんかを大音量でガンガン鳴らすのには最適です。

でも、シミュレーションからも分かる通り、45Hz以下の低音が

急激にレベルが落ちているので、ベースの音をよく聞いていると、

ある音から下が急に聞き取れなくなってしまいます。

だから、ジャズやクラシックにはあまり向きません。

 

今回の2Wayスピーカーは、再生周波数範囲がとても広いので、

バックロードホーンのようなことはありません。

ジャズを鳴らしていても、ベースの音運びが気持ちよく聞けます。

また、周波数特性の凸凹も少ないので他のいろんなジャンルの音楽も

無難に再生できます。

 

いかにも、優等生的なスピーカーに生まれ変わって、

大変 満足しました。